デジタルって何?
−デジタル社会で生きぬくために−

3.まとめ 

 まず、私達は素直にデジタル化の波を受け止めねばならないと思います。インタネットが社会構造を根本的に変えるといわれて久しいですが、その片鱗を最近目にするようになりました。出版業界が不要になる、流通業界が中抜きにされる、ピラミッド型組織構造が文鎮型になって中間管理層が不要になる、職場という決められた場所で働くことからお客さんのいるところで仕事を仕上げてしまう。これらは一朝一夕ではなく、気付かぬ間にじわじわ押し寄せてくる津波のようなものかもしれません。

 グーテンベルグが15世紀半ばに活版印刷機を発明したことが契機となって、16世紀にマルチンルターによる宗教改革が起こり、18世紀の産業革命に結びついていく。この動きは現在のデジタル化の波と同じなのです。モスクワで起こったクーデターでゴルバチョフを救ったのがインタネットによる情報であったこと、ソ連崩壊に至ったのはローリングストーンズやリーバイスのジーンズで育ったデジタル時代の若者達主導であったことなど、皆デジタル化の波の流れなのです。

 最近「デルする」という表現が使われます。これは、もともとパソコンの販売を手がけてきたデルコンピュータが急成長をとげ、10年もたたずに年商1兆円を超える大企業になりましたが、この経営手法を指すそうです。わが国お得意のXX総合電気やXX総合商社、日本XX株式会社といった従来からの経営手法が本質的に問われているわけです。工業社会から情報社会へ「デルする」ことが今求められています。

 話は変わりますが、上司の顔色をうかがう風習をそろそろ改めることもデジタル社会を生き抜くには重要なことだと思います。カラオケにいって上司の愚痴をこぼしても前進しない。ストレス解消はよいとしても、職場の不満を互いに慰めあっても前進しない。上司、同僚、部下、友人、家族との対等な会話、コミュニケーションをもっともっと行うことがとても大事なことなのです。携帯電話が普及してカラオケボックスが廃った話からは、女子高生達はカラオケを楽しむより実はコミュニケーション手段としてカラオケボックスを利用していたことがわかります。デジタル社会ではこれまで以上のコミュニケーションが大切だということです。

  自腹でいけないような場所、たとえば銀座の高級クラブや名門ゴルフコースに行くのは止めましょう。昨今役所の幹部が接待漬けで辞職を余儀なくされる話をよく耳にします。肩書きに奢り、肩書きがなくなるとだれも寄ってこなくなるような生き方ではデジタル化の波に押し流されてしまいます。肩書きがなくなっても一生継続するような人間関係を大切にしたいですね。 年功ではなく、実力・能力で評価されるデジタル社会の新しい組織の中では世代を超えた付き合いが重視されることになるでしょう。

 先輩格の人達は優秀な後輩達の足を引っ張らないこと、出る杭を打たないこと、目の出そうな若者達を伸ばす努力を怠らないこと、若者達は遠慮せず先輩達に意見することです。体育会系の私にとって、先輩後輩の関係はとても重要です。しかし、スポーツの世界であっても世代を超えた付き合いがこれから大切になります。


(続く)