デジタルって何?
−デジタル社会で生きぬくために−

 
4.終わりに

 デジタル社会で生き抜くための4つの提言をしてみたいと思います

4.1 情報独占によるリーダシップは時代遅れ

 活版印刷機の発明によって、聖書という情報を独占していたカソリック教会が衰退し、プロテスタントという新しい宗派が急拡大したという話は、情報の独占によって世の中に悪影響を与えていた教会から民衆が解き放たれたという事例です。わが国の大企業も役所も似たような傾向にあると思います。自分だけが一人占めする情報はデジタル社会の発展の阻害にしかならないのです。変化点に気付き、新しいものに挑戦するには自らの情報を公開し、多方面から叱咤激励を受けてこそ次のステップアップに繋がるのです。これを嫌う大企業や役所の幹部達は自らの組織を崩壊に導いていることに早く気付くべきなのです。

4.2 時代の交代、世代の交代

 今、わが国は政府や大企業を初めとして高齢者中心で重要な意思決定がなされていると思います。高齢者がまずいという意味ではなく、自分の精神年齢を認識せずに年功序列に甘んじて政治や経営にあたっている場合が多いということです。デジタル社会では若い感性が重視されます。人生経験豊かな理性に基づく時代から感性中心の時代に大きくシフトしているのです。左脳中心の時代から右脳中心の時代にシフトしているのですが、それに気付かず、世の中の急激な変化を好まない世代は早々にお引取りいただきたいものです。

4.3 失敗を恐れない

 プレステーション(PS)を産み出したソニーの子会社SCEの久多良木社長は、PSを成功に導くのに想像を絶する辛酸を嘗めてきています。91年6月に共同開発してきた任天堂からの決別は、ソニー社内で大問題となりました。にもかかわらず、94年12月PSの販売に漕ぎ着け、現在はソニー全売上の営業利益の40%を生み出しているのです。久多良木さんがソニーの中で順風満帆な道を歩んできたとしたなら、今のPS時代を築けなかったかもしれません。デジタルの社会には順風満帆なるものは存在しない、いつでも後ろから蹴落とされ、そこから這い上がって真に強いものが生まれてくることを認識すべきでしょう。

私事ですが、家内とは30歳のときにお見合いをしました。そのとき彼女のお父さんは小学校の先生で、いわゆる定年まで保証された地方公務員でした。当時私は電電公社職員で、準公務員だったので結婚に同意してくれたようです。その後、電電公社は結婚して間もない1985年民間会社に変わり、1999年には持株会社+東西地域会社+長距離国際会社に再編成されました。家内は最近「約束が違うではないか」と冗談をいいますが、公務員のよう に安定した職業に甘んじているならば、未来は明るくないと言えるかもしれません。

4.4 ライフプランは自分で考えよ

 自分が死ぬまでのライフプランを設計したことがありますか?会社の研修等で学ぶ機会があるかもしれません。しかし、今の世の中、いつ自分の利用する銀行や生保が潰れるかわからない時代になりました。デジタル社会は残念ながらそうした動きを避けてとおることはできません。

 そうであるならば、自己の責任の元で銀行を選び、生保を選び、死ぬまでの人生設計を明確にしてみてはいかがでしょうか。退職間際に資格取得のための研修を受講するだけでなく、それ以前から計画的に取得する自分の生き方を考え、そのために必要なことを準備する。デジタルとは自ら勇気を持って挑戦することなのです。

(ご精読ありがとうございました)