デジタルって何?
−デジタル社会で生きぬくために−

2.4 通信と放送の融合

 テレビ受像機でインタネットしたり、パソコンでテレビ映像を見たりすることはありませんか?ケーブルテレビでインタネットしたり、電話することはありませんか?これらには法制度上「通信」と「放送」両方のサービスが入り混じっています。

 日本の法律では、前者は電気通信事業法、後者は放送法及び有線テレビジョン放送法で明確に区分されています。電気通信事業法によれば、「通信とは有線、無線、その他の電磁的方式により、符号、音響又は映像を送り、伝え、受けること」と明記されており、1:1の双方向及び特定多数のサービス形態を想定しています。これに対して放送については「公衆によって直接受信されることを目的とする無線通信の送信又は有線電気通信の送信」と規定されており、1対Nの片方向でかつ不特定多数のサービス形態を想定しています。技術的に見れば放送は通信の一形態ということができるかもしれません。ところがデジタル化が進んでインタ



ネットに代表される通信だけでなくテレビもデジタル化が進んでくると、通信と放送を区


分けすることが事実上無意味になってきます。例えば、通信用の光ファイバを使ってケーブルテレビを提供したり、放送用のケーブルテレビを使ってインタネットや電話をしたり、通信衛星を利用して放送するといったように、運ぶ手段が通信も放送も一緒になってきています。冒頭でお話したように、インタネットによって通常テレビで放映されているニュースや天気予報を見ることもできますし、同じ番組を見ている仲間同士がメールを使って番組について意見を交換しあうようなこともできます。

 コンピュータというデジタルを基盤とした技術と通信のデジタル化の進展があいまってコンピュータと通信の融合が進み、インタネットが登場したといえます。そこに放送のデジタル化が2000年末のBSデジタル放送で普及が加速しますが、デジタルという共通の基盤でコンピュータと融合した通信が放送とも融合する時代が本格化します。

 放送の受動的な楽しみ方から視聴者が能動的に対応する楽しみと実益が融合するものにシフトすることになるでしょう。放送局からの押し付けから視聴者が能動的に楽しむ、役立てる方向にパラダイムシフトするわけですが、ここでも消費者の自己管理、選択、責任といった当事者としての自覚が相俟って通信放送融合時代が形成されていくものと思われます。寝っころがって楽しむテレビがよいのか、正座して操作するパソコンがよいのか、人それぞれでしょうが、近い将来はテレビか



パソコンか区別のない新しい端末が登場してくるのは間違いないでしょう。

(続く)