日本の社会、企業、そしてリーダ層が問われているもの
元産業再生機構のCOOとして活躍された冨山和彦氏の講演メモ 080708
●履歴 ・1984:司法試験合格 ・1985:東大法学部卒 ・1985:ボストンコンサル入社 ・1992:スタンフォードMBA ・2003:産業再生機構COO ●再生機構で扱った案件は41件 ・7万人のダイエーやカネボウなどの大企業から年商2億円程度の温泉旅館まで41件の再生に着手 ・10兆円の税金が軍資金 ・人事権は役所に任せず再生機構/冨山自身が持つ ・41件中1/3は成功、1/3は失敗 ●デューデリジェンス ・表と裏の両方あり、歪んだ表ルートより本質を突く裏ルートの情報が重要 ・経営トップいわく「自分がいるからこの会社が存在する」と、これが原因で会社は潰れる ・頭から腐っている経営者を交替し、税金を突っ込み再生可能かを判断 ・二代目、三代目症候群が命取り、一代目のようなタフさがなくなっている ●カネボウ ・120年前発足し70年前には日本一の大会社、武藤山治は日本企業最高の経営者、瀬島隆三のように ・負債となる(以前のコアビジネスであった)紡績/繊維からの撤退ができなかった ・なぜ出来なかったか、「個人的には繊維から撤退すべき、しかしこの雰囲気ではできない」空気が支配的、人間的情意 ・粉飾決算800億円、犯罪意識無くして粉飾、エンロンのCEOが高額を着服したのとは異なる ・不合理なことの先送り、その繰り返し ・NHKで放映された「監査法人」は青山監査法人やカネボウをモデルにしたドラマ、カネボウの粉飾800億円までぴったし ●JSOX ・エンロンのようなCEOの高額の着服などは悪質な粉飾、カネボウのような場合はエンロンとは異なる ・悪質な粉飾決算を防止するためのSOX法をそのまま日本に持ち込んだJSOXはわが国ではまったく意味なし ・JSOX法はアリバイ作りで粉飾防止にはならず ●再生のための経営者 ・他人の人生を破壊することに責任は取れない ・家長として社長として意思決定できず、理性の働く範囲が限られる ・二代目、三代目症候群、タフさの欠落、冷静沈着で根暗では再生できない ・根が明るくぶっちゃけた話ができる寅さんのような人物なら再生できる(ダイエーのCEOをやった林ふみ子さんはこのタイプ:筆者追記) ・カネボウの社長として40歳代の知識賢治に決めたのは20歳代の若いうちから社長業を計画していたから ・経済的合理と人間的情意、藤沢周平的 ・内村鑑三(キリシタン、日露戦争反対)、マキャベリズム(目的達成のために手段を選ばず)の両面