ディンプル

 ゴルフボールには「ディンプル」と呼ばれる独特のくぼみが付いている。ただの円球ではなく,なぜ,あれほどたくさんのディンプルが付いているのだろうか?

●ボールを揚げ,空気抵抗を減らす

 ディンプルとはボールの表面に付けられたくぼみ(へこみ)のこと。たんなる飾りではなく,ボールの飛びに大きな影響を与えるもので,その形状や配列パターンなどによって,飛び方や止まり方,滞空時間,スピン量がまったく異なる。

 ブリヂストンスポーツによると,ディンプルの主な効果は,ボールを上に高く上げようとする「揚力の増加」と,空中を飛ぶときの「空気抵抗の軽減」にあるという。

 バックスピンのかかったボールは,ディンプルの効果によって上方の空気流が速くなり気圧が下がる。その結果,ボールを上に上げようとする力が生じて,弾道が高くなる。

 また,ディンプルがボール後方への空気の回り込みを助け,ボール背後の空気圧の減少を防ぐことによって,後方へ引く空気の力が減る。つまり,空気抵抗の軽減によって飛距離がアップするというわけだ。

●ボールによってくぼみの深さや直径,数などが異なる

 ある実験によると,ディンプルの付いたボール(A)と,ディンプルのない表面が滑らかなボール(B)を同一条件で打った場合,BはAに比べてボールの高さが約3分の1,飛距離は約3分の2だった。

 ディンプルのないボールのほうがよく転がって飛びそうな気もするが,実際は高く上がらず,飛距離が出ない。スピン性能も期待できないため,グリーン上でピタッと止めることも難しい。

 一見,どのボールのディンプルも同じように見えるが,よく見てみると,くぼみの深さや直径,数,ディンプルの占める面積などがボールによって異なっている。

 一般的に,くぼみ(ディンプルの深さ)が浅く,直径が大きいほど,弾道は高くなる傾向があり,くぼみが深く,直径が小さいほど低い弾道になる。

 ディンプルの数というのは300〜500個くらいが一般的だが,その数が少ないほうが弾道が高くなり,多いと低くなる。またディンプルの占める面積が多いほど弾道は高くなり,少ないほど低くなる。

 それらの組み合わせでボールの性能が決定される。いままで困難だったディンプルの形状や配列パターンが,テクノロジーの進化によって可能になったため,現在のボールは飛距離も方向性も格段に良くなっている。


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